遮光カーテンの隙間から、月の光が漏れている。
就寝中にバキッっとゆう物音で目が覚めたのである。
周りを見渡すと玄関のある位置から影が近づいてくる。
恐怖に怯えながらも、実態の見えない影に向かって若い女性が叫ぶ
「誰!どこから入ってきたのよ。誰よ!」
叫びながら照明のスイッチを入れるが点かない。
影は少しづつ音もなく、すう~っと寄ってきている。
影は凡そ1メートルのところで止まった。
女性は、先ほどの威勢もなく、ぶるぶると震えている。
それはどう見ても真っ黒い影でしかなかった。
影の方から、声が聞こえてきた。
「私よ・・・・わからない?・・・・高校の時・・・・・」
所々聞きづらい声だった。
影は徐々に薄くなり、ぼんやりと顔が見えてきた。
その顔には、生気を感じられないような肌の色だ
女性は目を見開きながら、恐怖に震えている。
返事をしようにも声も出ない。
彼女の脳裏には全くと言っていいほど、その顔に憶えはなかった。
逃げたいけど、体がすくんで動けない。
影は彼女が恐怖で声が出せないと納得したようだ。
「あなたは友達だから・・・・・連れて行ってあげる・・・・」
影は女性を包み込んでいく。
人を抱きしめるように、影は徐々に彼女の体を包み込んだ行く、
女性はもがくことも出来ず、飲み込まれていった。
そして何かが潰された様な音がした。
ドサッと音と共に彼女の体は床に落ちる。
月の明かりが白い肌を照らしている。
静寂を破るかのように電話の電子音が響く
暫くすると、留守番電話に切り替わった。
「もしもし、今日子?まだ帰ってないのかな?
高校の時の白石裕子って覚えてる?今日事故で死んじゃったんだって・・・・・・・・」
数日後、変わり果てた姿で発見されることになる。
特に形相は悍ましいという言葉がぴったりだった言う。