わぎょうの日記

アニメ・映画・雑記ブログです。

友引の夜に  2

 カーラジオから、軽快な音楽が流れている。
j-POPだろうか、彼は体でリズムを取りながら運転している。
時折 口笛がでるくらい深夜のドライブを楽しんでいた。
こうゆう時ほど時間は早くたつものだ、フロントガラス越しに見る町並みはひっそりとしているが、繁華街に近づくうちに次第に賑やかになっていく、繁華街を過ぎる頃には、零時をまわっていた。
いつしか、彼は峠道に向かっていた、走り足りないのだろうか、無性に峠を攻めたくなったのだ。
コンビニを通り過ぎて、信号が見える、差し掛かる瞬間
ききーっと劈く音、黒猫がいきなり車の前に飛び出したのだ。
「フウー!脅かしやがって!もう少しで轢いちまうとこじゃないかよ」
ラジオからニュースが流れている。
「へえー あの事件まだ解決してないのかー、しかし世の中おっかねーなぁー、鍵は掛かっていたってワイドショーでもいってたよなー」
信号は赤に変わっていた。
「ちぇっ!猫のおかげで興ざめだぜ」
不意に彼は昔のことを思い出した。
・・・そういえば、この事件の被害者 佐藤今日子っていったかな、中学の同級生に居たような・・・まさかな同姓同名ってこともあるしな・・・・
突然女性の声が耳に入った。
少しずつ、自分を呼ぶ声が聞こえる。
居るわけのない後部座席に目を向けると青白い顔した女性が居たのだった。
彼は目をこすりながら、もう一度目をやると今度は居ない。
彼の鼓動は早くなっていく、そして顔に青白い手が伸びてくるのが見えたとき、息を呑んだ、その手はひんやりと冷たかった。
いつの間にか、先ほどの女性は横に居たのだった。
「思い出してくれたのね・・うれしいわ・・顔をしっかり見て・・・」
そうゆうと手で顔を向けようとする。
彼の視界に彼女の顔が入ってきた。
・・・えっと・・誰だ?見覚えがないぞ、さっき思い出してくれたって言ってたが・・・・・
その刹那 彼の首から鈍い音が・・・・
「顔 思い出してくれなかったのね・・・・・友達だったから連れて行くね・・・」
女性は黒い靄と共にすう~っと消えていった。